今回は介護が必要になったときの手続きについて、数回に分けてお話ししようと思います。
まずかかりつけ医をみつける!!
ひと口に介護が必要になったといっても、その原因となる疾患によって介護の様子は大きくかわります。介護期間だけ見ても末期がんなどでは数週間から数か月、認知症や脳卒中なら数年から数十年に及ぶことがあります。
また、同じ認知症でも非常におとなしいタイプの方もいれば、興奮、厳格、徘徊、弄便などで初期から家族がへとへとになる場合もあります。そうした疾患のタイプや個別性に対応する術を伝えてくれる医師や看護師、保健師などを身近に確保しておくことが重要です。
さらに介護保険の利用を考えると「主治医の意見書」や「診療情報提供書」の作成を迅速に適切に行ってくれる「かかりつけ医」が必須となってきます。介護が必要になったとき、医師をまず確保しましょう。なるべく近くに信頼のおける医師がいると安心です。
大病院は生活の維持を目的にした治療は苦手
大学病院や大病院の医師は生活の配慮までしてくれないのが普通です。大病院の医師は特定の疾患を診療することには長けていますが、介護に必要な生活の維持という観点での診療は苦手です。また、数年ごとに転勤などで職場が変わってしまうことが多く、連続性を保つことができません。「長く続く」「生活と密接にかかわっている」という介護の性格を考えると、できるだけ身近な「かかりつけ医(家庭医)」を選びましょう。
主治医とかかりつけ医の違い
主治医・・・傷病の治療を担当する医師で、一般的にはその場限りの関りであるが、慢性疾患の場合は長い付き合いになることもあり、かかりつけ医の機能をはたすこともある。
かかりつけ医(家庭医)・・・患者の療養環境(家族関係、居住環境、経済状況、人生観など)にまで配慮し治療の方向性を示してくれる医師。一般的には生涯にわたって関りをもつ。
私が思うに、ただ近ければよい、というものでもなく、一番はやっぱり医師との相性も大変重要になってくるとおもいます。ウマがあい、気軽に相談に乗ってくれる、そしてできるだけ近くにいる家庭医をみつけることが大切です。
認知症がある場合のかかりつけ医はどう選ぶ??
認知症は原因や生活環境によって症状の現れ方が異なるため、適切な治療やサポートを受けるためには、専門家の手助けが必要です。認知症の専門家として地域医療にかかわっているのが「認知症サポート医」です。
認知症サポート医とは、認知症診療の経験があり、厚生労働省が定める研修を修了した医師のことです。専門知識を生かして、認知症、または認知症の疑いがある人と医療・介護施設を適切につなげたり、地域の医師のために認知症に関する研修やアドバイスを行ったりしています。認知症サポート医と一般的なかかりつけ医が連携することで、認知症の治療や生活面での支援をスムーズに行えるようになります。
認知症サポート医は、認知症を専門に診療・治療する医師ではないため、普段は病院や診療所で一般的な診療にあたっています。
自治体によっては、認知症サポート医や認知症サポート医による研修を受けた医師(かかりつけ医認知症対応力向上研修修了者)の名簿をインターネットで公開しています。
認知症、またはその心配がある人は、こうした医師の中からかかりつけ医を選ぶようにすると安心ですね。
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